西蔵編(27)アリ~タルチェン
アリ(阿里)((ン)ガリ)からタルチェン(大金)(カイラス山麓の村)までのバスは2日後まで無かった。結果的に、ラサ(拉薩)からの移動の疲れを取ることが出来たと思う。
この街で最優先に行うべきこと、それは入境許可証(チベット辺境入境許可証)を取得することだった。
公安局外事処に出頭し、罰金300元と許可証代50元を払って許可証をもらった。
許可証に行き先を書いてもらうのだが、担当者がカイラス山を【神山】と書いた時には鳥肌が立った(残念ながらこの許可証は、パスポートに挟んでおいたところ中国出国時に取り上げられてしまった)。
この街は中国の軍事拠点用に作られた街である為、特に観光名所は無かった。
街を散策しているが、食堂やネットカフェ位しか立ち寄っていない。
アリに2泊した後、タルチェンに向かった。
正午に出発してタルチェンに着いたのは20時半だった為、8時間半かかっている。
カイラス山は、チベット語でカン・リンポチェ(雪の尊者)といい、釈迦牟尼の化身とされている。また、チベット仏教においては須弥山(しゅみせん)と同一視されている。
古名はカン・ティセ(魂の棲(す)む山)、中国語名は崗仁波斉峰(ガンレンボーチーフォン)、ヒンディー語名はカイラーシャー・パルヴァタ(カイラーシャーはサンスクリット語で水晶または楔(くさび)の座の意)。
標高は6656mで、宗教詩人ミラレパ(1052~1135)以外山頂に到達したものはいないとされている。
また、ヒンドゥー教、ジャイナ教、ボン教、そして仏教(チベット仏教)の最高の聖地で、遠方からの巡礼者が後を絶たない(現地でインドからの巡礼者の集団を見かけた(幌(ほろ)付きトラックで来訪)。
※ヒンドゥー教では、カイラス山はリンガ(シヴァ神を表す円柱形の像及び男性器を形どった像)の形をしていると見なされ、シヴァ神の住居及び世界の中心であると考えられている。
ここから南へ30kmにあるマパム・ユムツォ(マナサロワール湖、チベットの三大聖湖の一つ)と神聖な一対(ヤプユム)として崇(あが)められている。
チベットでは、一対の山湖を父母神として崇める信仰があり、ここではカン・リンポチェを父神、マパム・ユムツォを母神と神格化している。
※チベットの三大聖湖:ナムツォ、ヤムドク・ユムツォ(ヤムドク湖)、マパム・ユムツォで、ユムツォとは、「トルコ石の湖」の意。
※マパム・ユムツォはカイラス山からの雪解け水が流れ着き、ユーラシア大陸をその支流に置く四大河(インダス川・サトレジ川・ガンジス川・ヤルツォンポ川)の源流となっている。
ここにはマハトマ・ガンディー(ガンジー)(1869~1948)の遺灰も一部流されている。
この近郊には、他にもグゲ遺跡(グゲ王国(842~1630)の遺跡)等の見所が幾つかあるが、僻地(へき)にある為、行くのを諦めた(当時、ツアー参加又はヒッチハイクでしか行くことが出来なかった)。
西チベットには、カイラス山巡礼の為だけに行ったことになるが、それでも貴重な経験が出来て良かったと思う。
(写真は、タルチェンの村から見たカイラス山(中央の白い部分が山頂(南側)))
※地図
(旅した時期:2004年)
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