旅拝

過去の旅の記録です。

西蔵編(10)ラサ(その3)ポタラ宮

 ラサ(拉薩( Lhasa ))滞在中、何度もポタラ宮周辺を訪れている。

 ポタラ宮は、高さ115m(山の高さ含む)、東西360m、南北300m、総面積41km²の巨大な宮殿。
 7世紀半ば(吐藩国の時代)に、ソンツェン・ガンポ王(581?~649(650))がマルポ・リ(チベット語「赤い山」の意)に宮殿を築いた(1649年に主要部分が完成)。
 その後、ダライ・ラマ5世(1617~1682)が造営を続ける形で白宮(ポタン・カルポ)を建立、彼の死後は摂政のサンゲ・ギャンツォ(1653~1705)が紅宮(ポタン・マルポ)を造営し、1695年に完成。
 東側の白宮は、ダライ・ラマの住居と政治的な執務を行う領域であり、中央部分の紅宮は、宗教的な領域として使用された。

※1994年に世界遺産に登録されている。

 ポタラという名は、サンスクリット語“ potalaka ”(観音菩薩が住むという山の名前)に由来するそうだ。

 また、チベット旅行記抄』(河口慧海(えかい)著、中公文庫BIBLIO刊)にはこう書いてある。

 法王の宮殿、この宮殿の名をツェ・ポタラというて、ツェは頂上でポタラは船を持つの義で港のことをいいます。ポタラとは観音の浄土でインド南端の海中にああるセイロン島のことで、シナの普陀落その名を襲用したものである。ここの普陀落は観音の化身ダライ・ラマの住する所であるから普陀落(ポタラ)といい、山上にあるからツェ・ポタラという。

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 ポタラ宮見学は、入場者数の制限が設けられており整理券が必要だった。
 今は中国人観光客数が増大しており、整理券を入手するのも一苦労と思われるが、当時私が参拝した際、チケット売場で担当者に交渉して整理券を持たずに入場を許された(入場料は支払っている)。
 交渉中に相手が笑ってOKしてくれたのだが、何を話したのかは覚えていない(帽子を取って丸めた頭を見せたのかもしれない)。長閑(のどか)な時代の話だ。

 内部はとても広かったが、可能であればガイドの案内を受けながら見学したい場所だ(情報が少ない中での見学だった為)。

 (写真はポタラ宮内部。日光でお湯を沸かしていた)

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 ポタラ宮は、ジョカン(トゥルナン寺)(大昭寺)と共に、ラサにおいて信仰の中心地と言える場所で、多くの参拝者が訪れていた(周囲をコルラしていた)。

※コルラとは、聖地の周りを巡礼して歩く行為。仏教徒は右(時計)回り、ボン教徒は左(反時計)回りに歩く。

 ポタラ宮前で五体投地をするチベタン(チベット人)を見ながら、その意味を理解できずに首をかしげている中国人観光客の姿が印象的だった。
 あの時、彼の心の中に小さな種が植えられたように思える。その後種は芽を出しただろうか。それとも発芽せずに枯れてしまっただろうか。
 自分にとって、チベタン五体投地をしながら祈りを捧げる姿が美しい光景として心に残っており、その後四国巡礼をするきっかけになっている。



※地図





(旅した時期:2004年)

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